目の疲れとドライアイ
人はだれしも、年をとればからだは老化し、目の働きも衰えてきます。中高年の人 が、肉眼で小さな文字が読みにくくなって、疲れ目やしばしば目に違和感を感じるよ うになるのは、一種の生理現象としてやむを得ない而もあります。
しかし、ここ数年、20代や30代の若い世代や育ち盛りの青少年に、疲れ目やドライ アイなど、目に異常を訴える人がとても多くなっています。原因はいくつか考えられ ますが、最も大きな要因は、パソコンやOA機器など、コンピュータ機器の急速な普 及による目の酷使です。
実際に、新たな目の病気ともいうぺき「VDT症候群」が多発していますし、深夜 まで勉強する受験生やテレビゲームに熱中する子供たちの視力は、過去最悪の状態を 記録しています。こうした傾向は、いままでになかったことで、眼科医の立場から見 ると少し”異常事態”に映ります。
疲れ目やドライアイは、視力低下を招き、仕事や勉強に熱が入らないばかりか、肩 こりや頭痛などを発生させ、ストレスの原因にもなり、放置すると、重大な目の病気 や生活習慣病(成人病)の引き金になることも考えられます。そればかりか、目にト ラブルが起これば、日常生活に大きな支障をきたすのは明らかです。
このように、現代人の目は”お疲れさま”といっても過言ではないのに、目に意外と 無関心な人が多いのも確かです。目が果たす重要な働きをもう一度再認識し、情報化 社会を生き抜くためにも、日ごろから目をもっと労るようにして欲しいと願います。
疲れ目やドライアイなどの目のトラブルは、視力を低下させ、集中力や”ヤル気”を減退させます。
放置すると、目の病気や健康を害する要因になるので、早めの対策か必要です。
20~30代に目の異常を訴える人が急増している
「最近、目がすぐに疲れて仕事に集中できない…」、「目の表面がごろごろして、何となく乾いた感じがする…」など、目に異常や不快症状を訴える人が、急激に増えています。
病院の眼科には、目の治療に訪れるお年寄りが多いのも確かですが、一方で、ここ数年、20~30代の若いビジネスマンやOL、学生の外来が目立ちます。また、視力低下を理由に、親に伴われて来院する子どもや、更年期世代の女性など、目に違和感を覚えて診察に訪れる人たちが増えています。
そして注目すべきは、そうした患者さんの約7割に、疲れ目(眼精疲労)やドライアイ(涙液減少症など)の症状がみられることです。こうしたこと
から、医療機関では、ドライアイだけでも、潜在患者を含めると、少なくとも1000万人以上いるのではないかと推測しています。
目の疲れやドライアイは、視力の減退、注意力などの低下を招く
疲れ目やドライアイが間題なのは、男女を間わず幅広い年齢層で多発傾向にあることと、症状があると視力を減退させ、注意力や集中力を低下させる原因になるためです。
つまり、視力が低下すると、仕事中にミスを多発させ作業効率を著しく低下させたり、運転中に事故を起こすなど、思わぬアクシデントやトラブルを招く要因になります。また、新聞や本の文字が読みにくくなったり、気力が減退して”ヤル気”が起こらなくなるなど、日常生活の多方面に不便さと悪影響をおよぼします。
症状を放置して起こる視が障害や全身症状も心配
疲れ目やドライアイは、目の症状だけでなく、肩こり、頭痛、腰痛など、全身症状の要因にもなります。さらに、症状を繰り返して慢性化すれば、ストレスとしてからだに蓄積されます。
ストレスが健康に悪影響をおよぼすことはだれもがよく知っていると思いますが、目の異常で起こるストレスが高血圧や動脈硬化を促進すれば、生活習慣病(成人病)の引き金になることは容易に想像できます。
疲れ目やドライアイを単に目の異常としてとらえるだけでなく、症状を放置すれば、重大事を招きかねないこともト分に認識し、予防することの大切さを肝に銘じておく必要があります。
その他の必要に応じて行われる目の検査
隅角検査 顕微鏡で観察する
特別なコンタクトレンズを使い、目の隅を一般検査の結果、さらに目を詳しく調べる必要があったり、病気を正しく診断する必要があるときは特別な検査を行います。特殊検査の種類は多いのですが、ここでは比較的多く行われるいくつかの検査を取り上げ紹介します。
隅角とは、正面からは見えない、角膜と虹彩の根もとが交わる部分をいいます。この部分には、眼圧を調節する房水の排出目があり、隅角検査はとくに緑内障などを診断するうえで欠かせない検査です。
隅角から来る光は角膜の表面ですべて反射されてしまい、外部から肉眼で見ることはできません。検査を行うときは、角膜の全反射を除き、角膜と等しい屈折率のコンタクトレンズを装着して見えるようにし、特殊な細隙灯顕微鏡によって観察します。